親の収支を把握し、できる限り親のお金で介護費用を賄うべし
離れて暮らす親の収入と支出を把握しておくことで、いざ介護が必要となったときに、迅速に介護方針を決めることができます。
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、年金のみで生活する65歳以上の高齢者世帯は、全体の約44%に上ります。(2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況)
現在支給されている国民年金、厚生年金の平均額は以下の通りです。
年金支給額(円) | |
国民年金(自営業者/専業主婦) | 56,428 |
厚生年金(男性:給与所得者) | 167,338 |
厚生年金(女性:給与所得者) | 109,165 |
次いで多い所得としては、働いて得た収入、さらに不動産による収入や株式の配当などもあります。年金保険するために入った個人年金保険による収入もあるかもしれません。
年金のみで生活する高齢者の割合は多いものの、不動産や預貯金など老後に備えた財産まで含めて確認した上で、できるだけ親のお金を介護費用に充てることを考えましょう。
親の介護にかかる平均費用
親の介護に必要な費用は月平均で約8万円とされています。介護サービス利用料のほか、おむつ代や福祉器具のレンタル料金など、様々な費用が必要です。
さらに、住宅リフォームや介護ベッドの購入に要する一時的な支出は、平均で74万円にもなります。これらはあくまで平均的な費用であり、親の状態によっては、より多くの費用がかかる可能性も考慮しなければなりません。
参照:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度
介護に必要な費用の内訳
介護が必要な費用は、被介護者の状態や、家族がどのくらい介護負担をし、どのような介護サービスを利用するのかなどによって大きく変わります。参考として、要介護2〜3の場合の一例を紹介します。
介護施設 | 在宅介護 | |
家賃等 | 6~7万円 | 0円 |
介護サービス料 | 約2万円 | 約3万円 |
月額サービス超過分等 | ー | 5,000~1万円 |
食費 | 4~6万円 | 3~5万円 |
光熱費 | ー | 5,000~1万円 |
その他(管理費・介護用品代等) | 5~11万円 | 5,000~3万円 |
合計 | 約22万円 | 約13万円 |
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親の毎月の収支がマイナスの場合、親の預貯金の切り崩しや、子供が介護費用を負担することにもなりかねず、子供の家計に大きな影響を与えます。
特に、施設の利用は、在宅介護以上にお金がかかるので、親の収支と財産状況を把握してからでないと簡単には決められません。ある調査会社のデータによると、親の貯金を把握している50代は約4割しかおらず、60代でも約5割という結果でした。
年齢が上がるにつれて、割合が増えることからも、介護がきっかけで親の預貯金を把握する方が多いようです。親に聞きづらいことではありますが、細かい金額までわからなくとも、子供が介護費用を捻出する必要があるかだけでも確認してみる必要があるでしょう。